宅島夫人の霊視・豊前坊の蚊帳をつる老婆霊
どんな伝承か
宅島夫人が語った長崎での話。長崎に彦山権現の社があり、その山の下に本河内の町がある。夫人は同信の三人と、山の横手にある豊前坊という丘の上の小さな堂におこもりをした。畳敷きの堂の中は風ひとつなく蒸し暑く、蚊取り線香を忘れたため蚊に悩まされた。うとうとしているとザワザワと音がし、目を開けると品のよい老婆が腰をかがめて入ってきて、手つき身ぶりだけで堂の中に蚊帳を吊る様子を見せ、四隅に環をかけ終えると安心した表情で消えた。翌朝、一同は誰も蚊に刺されておらず、他の三人も緑色の麻の蚊帳を吊ってくれる夢を見たと語った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・昭和49年(1974年)8月20日初版・双葉社)
「お化けを守る会」世話人頭・平野威馬雄が、幽霊・心霊・物の怪・心霊科学を縦横に語る一書。第一章は読者から寄せられた現代の幽霊・たたり実話(八幡市の泣き声屋敷、秋田の生首屋敷、お盆の帰省霊、四谷怪談のたたり、双生児に取り憑く絞殺被害者の霊、大刈峠殺人事件の幽霊と霊能者・三好天泉による招霊で犯人像が捜査と符合した実録)を収める。