宅島夫人の霊視・防空壕から来た亡母の霊
どんな伝承か
宅島夫人が岩川町の市営住宅にいたころのある晩、表に人の気配がするので出てみると、六十前後の、白地にアヤメを散らした浴衣姿の老婆が息をせきながら、一晩泊めてほしいと手を合わせた。狭い家ゆえ泊めることはできないが上がって食事をしてほしいと答えると、老婆はがっかりした様子で「私は城山の防空壕から来たのです。お宅のお母さんが、困ったときは娘夫婦が岩川町の市住にいるから行って泊めてもらいなさいと言ってくださった」と語った。母はとうに亡くなっている。問いつめると容貌も着衣も、手首の数珠のことまで亡母と一致した。老婆は防空壕へ戻ると言って消えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けは生きている —科学にとり残された霊の世界(平野威馬雄・昭和49年(1974年)8月20日初版・双葉社)
「お化けを守る会」世話人頭・平野威馬雄が、幽霊・心霊・物の怪・心霊科学を縦横に語る一書。第一章は読者から寄せられた現代の幽霊・たたり実話(八幡市の泣き声屋敷、秋田の生首屋敷、お盆の帰省霊、四谷怪談のたたり、双生児に取り憑く絞殺被害者の霊、大刈峠殺人事件の幽霊と霊能者・三好天泉による招霊で犯人像が捜査と符合した実録)を収める。