伊王島の俊寛硫黄島伝説
どんな伝承か
かくれキリシタンの『天地始之事』には、ノアの洪水が高麗島陥没の物語と結びついた大洪水の物語が語られている。一六世紀末にイエズス会が『平家物語』を出版しており、俊寛の愛弟子である有王は、この陥島物語では島の名に変わっている。これは、長崎港外にある伊王島が、俊寛の流された硫黄島だといって記念碑まで建てている事実と考え合わせると、陥島物語とノアの洪水とが結合したうえに、『平家物語』が介入したものらしい。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎ほか・日本民俗学大系・昭和(民俗学))
『日本民俗学大系 第8巻 信仰と民俗』。原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎らによる十論考からなる日本民間信仰の総合的研究。原田敏明「総説」は信仰と民俗、宗教の起原(スペンサーらの学説・アニミズム)、村の信仰と都会の宗教、シャマニズムを論じる。池上廣正「霊と神の種類とあらわれ方」は神の種類(名社大社の祭る神・雑神)、神のあらわれ方、霊の種類(人霊・自然霊)・霊威、農と神・田植えの儀礼を扱う。