大津波とハッパ丸次一家
どんな伝承か
長崎県外海地方の『天地始之事』に語られる大洪水の物語。人間の悪化を見た神デウスが大津波を起こし、ハッパ丸次(教皇殉教者を意味するパパ・マルチルの転訛)の一家だけを残して全人類を滅ぼしたという。その後、死者がみな地獄に落ちるのをあわれんだデウスが、我が身を分けてヒリヨ(キリスト)をこの世に下したと続く、ノアの洪水が郷土的に変形して伝えられたものである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎ほか・日本民俗学大系・昭和(民俗学))
『日本民俗学大系 第8巻 信仰と民俗』。原田敏明・池上廣正・平山敏治郎・堀一郎らによる十論考からなる日本民間信仰の総合的研究。原田敏明「総説」は信仰と民俗、宗教の起原(スペンサーらの学説・アニミズム)、村の信仰と都会の宗教、シャマニズムを論じる。池上廣正「霊と神の種類とあらわれ方」は神の種類(名社大社の祭る神・雑神)、神のあらわれ方、霊の種類(人霊・自然霊)・霊威、農と神・田植えの儀礼を扱う。