例八=天狗惜みの松の木
どんな伝承か
丹波国北桑田郡宇津村大字下宇津の湯浅喜之助が所有する山に、古くから天狗が住むという大松があり、その怪異にまつわる伝説が村に残っていて、のちにはこの松に不動明王が祀られた。ところが喜之助の家に変事や凶事が続いたので、松のある山を手放す気になり、明治二十四年の秋にいったん弟小三郎の名義に替え、小三郎は大松を同じ村の大工向井市太郎に売り渡した。市太郎は天狗など信じず、良材が手に入ったと勇んで四人の手伝いを連れて伐りに行き、真っ先に斧を振り上げると、空中から威厳のある声で「待てい」と言うものがあった。
原典より
丹波國北桑田郡宇津村大字下宇津の湯淺喜之助の所有の山に、古くから天狗の居ると云ふ大松があつて、村民間にその怪異に關する傳説が殘つて居り、後には此松に不動明王が祭られた。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談・大正〜昭和(戦前))