巻煙草でふくれる肌と皮膚画紋症
どんな伝承か
同じ実験会で別の一人が見せたのは、火の点いていない巻煙草の吸口を肌に押し当て、その部分を何度もこするというものだった。しばらくすると皮膚がやけどのように膨れ上がる。本人は念の力だけで起こしたと得意げに触れ回り、客も感心したという。筆者はこれも生理の働きだと説く。皮膚は刺激を受けると保護のために血が集まって赤みを帯び、こする回数が増えるほど強く出る。神経衰弱やヒステリーのある人、体質の過敏な人では、わずかな摩擦でみみず腫れになり、ただれることさえある。医学ではこれを皮膚画紋症と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
變態心理と犯罪(中村古峽)
『變態心理と犯罪』は、雑誌『變態心理』を主宰した中村古峽による変態心理学の論集である。二重人格・夢遊病・狐憑き・神隠し・催眠術を心理学の立場から解き、大本教・天理教・金光教の神懸りを妄想や人格変換として退け、霊能を称する火渡りや針刺しなどの実験の種を明かす。終わりには迷信や二重人格のからむ大正期の犯罪事件の実話を収め、著者自身の被験者や綾部の大本教訪問の見聞も例に引く。