浅間温泉洞
どんな伝承か
明治時代のこと、長野県松本市浅間温泉洞に、水汲みを生業とする喜助という男が山中に小屋を建てて独り暮らしをしていた。ある雪の夜、「喜助のほおっぺた」と呼ぶ声が聞こえてきた。むじなかたぬきの呼び合いだろうと思った喜助が「そういうやつのほおっぺた」と言い返すと、また同じ声で「喜助のほおっぺた」と返ってくる。声はだんだん近づいてきて、これに負ければ家の中に入られて食い殺されると思い、喜助は夜明け近くまで言い返し続けた。すると声は次第に小さくなり、やがて聞こえなくなった。翌朝、戸口にはむじなが一匹、凍え死んで横たわっていたという。『長野県史』民俗編に記録されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。