57:穂の長さ六尺目方五貫匁ある稀代の大筆
どんな伝承か
長野県松本町の士族児島啓は、更級郡更級村に住む六十を過ぎた老人であったが、全国の官幣・国幣の有名神社へ奉納する大幟に大書することを思い立った。かつて葛飾北斎が名古屋で達磨の大画を描いた故事になぞらえ、上京して穂の長さ六尺余、直径一尺五寸、目方五貫匁、墨汁一斗を含む大筆を筆匠高木寿頴に注文したという。墨を含んだ筆の総重量は九貫九百匁に達し、製造費は百余円にのぼったと当時の新聞が伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件