岩野さんの体験談です
どんな伝承か
戦前、徳島市寺島には徳島高等小学校があり、校庭に銀杏の大木が立っていた。戦災で校舎が焼けた後、その木は切り倒され、石井の人が買い取って適当な長さに切って運び去った。ところがある晩、皆が寝静まった頃に「エンヤラ、エンヤラ」と木を運ぶ掛け声と、ゴトゴトと木の動く音が聞こえた。奥さんと子供が見に行くと声は出来島の方へ遠ざかり、姿は何もない。戻るとまた始まり、主人が確かめに出ても向こうへ去っていくばかりだったという。銀杏の下に住んでいた狸のしわざであろうということになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。