三河作手の穂ニホ
どんな伝承か
稲積を意味するニホ・ニョウなどの名は、新嘗のニヒではあるまいかと提案されたことがある。今日のニホ場も田に近く家に遠く、形式配置ともに土地ごとの年久しい習わしがあったらしいが、近年は色々の社会不安が加わって、穂のままでは長く屋外に積んで置くことができず、僅かの間に薬ニホばかりが多くなった。それでも自分などの旅をした頃までは、三河の作手のような静かな山村でなくとも、四国九州の海辺や鉄道沿線にも、穂のまま稲を積む習俗はなお見られた。東北地方は一般にニホの形が大きく技術も念入りで、なお多くの村々に穂ニホまたは本ニホという名称が残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。