青葉も芋蔓も食い尽くした黒島の鼠
どんな伝承か
柳田国男は、鼠の害が人の手に負えなくなった記録は奈良朝の史書にすでに見えると述べ、島が小さいほどその苦しみは深いと書く。実例として挙げるのが、昭和十二、三年に鹿児島県の黒島を襲った鼠害である。野山の奥まで鼠が満ちあふれ、青いものは一枚の葉も残らず、人が口にする芋の蔓さえ食い尽くされた。昔であれば島を捨てて逃げるか、そのまま滅びるほかない事態だったという。害が下火になると人は安堵してしまうため、鼠がどう終わったのかを見届けた記録が残っているかは心もとない、と柳田は案じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。