長浜天皇と安徳帝の遺品
どんな伝承か
隆盛親王は臣籍降下して長浜家の元祖となり、今も長浜家には安徳帝から二十三代目の子孫が住んでいるという。著者はカメラをぶら下げてその『皇居』を訪問した。奥の暗いところに色の黒いじいさんが裸で寝ていたが、ドッコイショと起きて来て、天皇かと問うと『そうです』と答え、まあどうぞお上がりなさいと言う。この地では長浜天皇で通っているので本名は知らない。老人は安徳が使った手鏡や刀を見せ、俊寛坊主が字を書いた小石をザラザラ出して惜し気もなく持って行けといった。宿へ帰ってゴロゴロしていると天皇が訪ねて来て、安徳の書いたものがどうしても読めないので誰かに見てもらってくれと頼んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
山とお化けと自然界(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・昭和(戦後))
西丸震哉『山とお化けと自然界』を篇単位で収録。完全装備で岩小屋前を通過する遭難者の幽霊目撃、木曾御岳の人魂たち、カラステングがタコを食う、亡き兄との交信やテレパシー(死者との通信)、幽霊の仮説・怪談といった山岳怪異譚を軸に、呪い殺しの実験・雨やみの術・日蝕と雨やみの術などの呪術、山の昆虫・メスネコの生涯・ヤマネとムササビ・ミミズク等の自然観察、酒・山旅・会津の秘境/栗駒山密林などの紀行随想を収める。