薄の茎を天に上げる雨の神
どんな伝承か
黒島の東海岸、野原崎の近くで畑を作っていた野原美屋久は、長い日照りに苦しんでいた。東の海へ投げ網に出たところ、子どもほどの背丈の者が五人、小舟でやってくる。尋ねると、自分たちは雨の神で、この島に雨を降らせに来たと答えた。美屋久は喜んで家に迎え、ご馳走でもてなす。翌日、五人は彼を畑へ連れ出し、薄の茎を切って呪文を唱えながら天へ差し上げた。その夜は大雨が降り、幾日か同じことを繰り返したのち、神々は雨を呼ぶ呪文を美屋久に授けて去ったという。神々はさらに石垣島の東岸で玻武名屋の大翁主に迎えられ、乾いた田へ水を与えた。黒島では今も日照りのたび、美屋久の掘った野原井戸に集まって呪文を唱えてもらうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第15巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第15巻』所収の「文化叙事伝説」「自然説明伝説」全185話(奄美・沖縄=南西諸島)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。