蟹をいじめた者に下った祟り
どんな伝承か
上唐子に、蟹という言葉を耳にしただけで気分が悪くなるほど蟹を嫌う人がいた。ある日川へ入ろうとしたところ、はさみを振り上げた大きな蟹に出くわし、捕まえて石に打ちつけ殺してしまった。その蟹は腹いっぱいに卵を抱えていて、親蟹は甲羅がつぶれ、子になるはずだった卵もあたりに飛び散って死んだ。のちにその人に子が生まれたが、這うのも歩くのも横向きだったので、蟹をむごく殺した祟りだと恐れおののいたという。同じ上唐子には、小蛇に石をのせて苦しめた人が祟られたという話も伝わる。
原典より
ところがその蟹は腹にあふれる程卵をかかえていた蟹だった。—— 東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市の市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。多くは会話を交えた物語の形で書かれ、筆者が幼い頃に母から聞いた話や古老から聞いたままの話も含み、末尾に〔 〕で由緒や文献の注を添える。