雪の大晦日に米を授けたおさずけ沼
どんな伝承か
大雪の大晦日の夜、見知らぬ老人が村の長者の家に一夜の宿を乞うたが、元日の前に縁起でもないと追い払われ、どの家でも断られた。村はずれのあばら家の老夫婦だけが迎え入れ、食べ物はないからと白湯と炉の火でもてなした。老人は老婆に、鍋を持って幟脚塚の沼へ行き、水面に浮かべて欲しいものを一心に願えと教える。半信半疑で雪の中を沼へ出て、中島の弁天堂を望みながら祈ると、鍋には白米が山盛りになっていた。三人で炊いて食べた翌朝、老人は、困ったときはまた人知れずあの沼で願えと言い残して雪原に去ったという。
原典より
沼の水面に浮べた手鍋の中に夜眼にまっ白なお米が山盛り入っていた。—— 東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説(東松山市(編)・東松山市史)
『東松山市史 資料編 第5巻(民俗編)――伝説』は、東松山市の市史の民俗編のうち、伝説の部分を収めたものである。岩殿山の悪龍退治や比企一族の落人の話、永福寺の河童の詫証文、箭弓神社の銭絵馬、狐に化かされた話、神かくし、雪女郎など、市内の寺社・坂・沼・塚にまつわる四十六話を載せる。多くは会話を交えた物語の形で書かれ、筆者が幼い頃に母から聞いた話や古老から聞いたままの話も含み、末尾に〔 〕で由緒や文献の注を添える。