神門郡のゲヤ住まい
どんな伝承か
島根県の旧神門郡では、家に死者が出て忌中のあいだ、主屋の座敷を使わず、ゲヤ(下屋)の建出しをつくって、その中に住み、ただ裏口からばかり出入りしたという。死の穢れを避け、世を避けて離れ住もうとする心持ちのあらわれで、特別な小屋に離れ住むまではしないものの、忌のあいだは平常の住居を避けたのである。各地には葬家の門口に木を斜十文字に組んだり、簾をかけて忌中と貼るなど、穢れを人に及ぼさぬための習俗が伝えられており、旧神門郡のゲヤ住まいもその一つである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。