蛇となった兄と尽きぬ酒の当願堂
どんな伝承か
造田長行に、暮当と当願という仲のよい兄弟が住んでいた。志度寺の本堂が建った日、兄の当願は法席にありながら、猟に出た弟が獲物を独り占めしていないかと気をもんだ。弟は早々に帰り、兄を迎えに志度寺へ行くと、兄は足が立たず下半身が蛇に変わっていた。当願は幸田池へ入れてくれと頼み、自分の左目を与えて酒を造れと言い残す。教えのとおり造った酒は汲んでも尽きず、暮当の暮らしは豊かになった。噂を聞いた朝廷が玉を一対で差し出せと命じ、泣く泣く池へ来た弟に、兄は右目もくりぬいて渡し、姿を消した。大蛇となった当願は大槌小槌の間で竜神となり、干ばつのとき長行の人々が神酒を海に沈めて雨を願うと必ず降らせてくれるという。
原典より
造田長行に暮当、当願という仲のよい兄弟が住んでいた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書・自治体史(民俗)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書・自治体史(民俗))
香川県(讃岐)の昔話と伝説を網羅する。第一章昔話は、炭焼長者・天道さん金の鎖・狐女房・大歳の火・産神問答(虻にのみ/滝の宮のヨサの宮さん)・親棄山・童子丸・弘法機・継子話・お大師さんとぼた餅・物言う亀・米倉法師・猫又・こぶ取り爺・屁こき爺・蛇聟入・かにの報恩・浦島太郎・竜宮童子・肉付面・子育て幽霊・鷲の育て子・亀の聟入など五十九話を語り手付きで収める。