中津の花折りと進めぬ遍路
どんな伝承か
中津の花折りさんは、大窪寺へ向かう遍路道の傍にある。もとは今の場所よりずっと上にあったのを、今の場所まで下ろして来たのだという。昔は花折りさんの横を通るときには、花でも木の枝でもよいから必ず折り取って供えていたそうである。この花折りさんの傍を通る遍路道は、大窪寺へ行く一の関所であったという。あるとき、花折りさんの傍に住む金藤さんが見ていると、一人の遍路が道を行ったり来たりして、なかなか前へ進めない様子である。どうしたのかと聞くと、どうしても前へ行けぬから泊めてくれという。金藤さんは家へ泊めてやり、路銀も与えて国元へ帰るようにしてやったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ダムに沈む ―香川県長尾町前山地区民俗誌(武田明・高橋克夫ほか・現代(民俗誌))
香川県長尾町前山地区(ダム建設で水没した地区)の民俗誌。