糸をたどって知れた蛇婿の正体
どんな伝承か
比婆郡高野町の餅の実に住む鉄山師の娘まきのもとへ、毎夜きまって美しい男が通ってきた。不審に思った乳母が、糸を通した針をその男の袖先に縫いつけて帰らせる。翌朝、糸をたどっていくと、男は森脇の黒石山の洞のなかで、鉄気に当てられて死んでいた。まきはほどなく子を産んだが、生まれたのは盥いっぱいほどもある蛇の子であったという。これは三輪山の神婚説話につらなる蛇婿入りの変型とされ、県史も同じ型の話として、櫛箱の小蛇を見た姫の伝えを並べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史・自治体史(民俗))
『広島県史 民俗編』所収の伝説の分布論。広島県(安芸・備後)に伝わる伝説を、その素材と分布の地域的特色から論じる。