昔話・大蛇の夜ばい(蛇婿入)
どんな伝承か
温田の方からやってくると、急にひらける場所に沼があり、大蛇がすんでいたという。その大蛇は矢野の部落の美しい娘のもとへ、毎晩若い男の姿になって夜ばいに通い、娘はとうとう子をはらんだ。娘の親の指図で、帰りぎわの男のほっかぶりに糸をつけた針を刺し、糸をたどって行くと沼に着いた。そこで蛇が親に、自分は鉄の毒で死ぬが子は残ると話しているのを聞き、家へ帰って娘に飲ませると子は落ちたという。沼から流れる水が時おり赤くなるのは蛇の血のためで、頬に絹針を刺されて死んだ蛇から、その沼を「ほおのきばり」というようになったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(民俗調査報告)
『新野民俗誌稿(長野県下伊那郡阿南町)』第十五章口頭伝承所収の昔話・伝説。昭和五三年に新野で採話された口承を収める。