昔話・朱膳朱椀(旅学問)
どんな伝承か
世間体を覚えさせようと、おじいさんが息子を旅に出した。息子は帳面を持ち、見たものの名を人に聞いては書きつけたが、小豆を「ようかん」、犬の皮を「けんび」、馬の皮を「ばひ」、死んだ牛を「ねうし」、朱ぬりの椀を「朱膳朱椀」、大きな石を「エート」と覚えこんでしまった。やがてある所で馬に乗ると、小豆畑から犬が飛び出して馬が驚き、落ちて石に頭をぶつけ血を流した。息子はそれを「ようかん畑からけんびが飛び出て、ばひがおどろき、頭をエートにくらし、朱膳朱椀のごとくに相成候」と書き送ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(民俗調査報告)
『新野民俗誌稿(長野県下伊那郡阿南町)』第十五章口頭伝承所収の昔話・伝説。昭和五三年に新野で採話された口承を収める。