例二 愛人の顔の燒痣
どんな伝承か
明治の中ごろ、新舞鶴の二業地のある楼に、大阪生まれの小袖という娼妓がいて、小浜の商人と相思の仲になっていた。雨風の激しい夜のお茶ひきの雑談で、自分の血をつけた紙撚を雪隠で燃やして下をのぞくと愛人の顔が見えるという話が出た。月経中だった小袖が試すと、まもなく真っ青になって戻り、確かに愛人の顔が見えたが雪駄直しの姿だったと言って気に病んだ。のち小浜へ訪ねると、男の左の頬に二銭銅貨大の赤い痣ができており、あの夜、寝ていると急に焼火箸を当てられたように熱く感じたのだと語ったという。
原典より
例三 湧泉を飲みに行く遊魂例四 水瓶内に捉へられた魂例五 暗示の効例六 騒音で苦しめる例七 麻睡劑の危難例八 唇の打撲例九 特殊の遠感例十 生きた夢未來の運命の正夢—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期)
心霊研究家・岡田建文の『心霊不滅』。唯物科学を批判し、肉体死後も心霊(心識)が不滅であることを古今東西の事例で立証しようとする心霊科学書。序説でイオン研究所のエーテル体撮影や、神戸の歯科医方で死去した令嬢朝子の消息を語ったセキセイインコ、タイタニック沈没時の挿話を置く。