例三 孫を見に歸つた生靈
どんな伝承か
明治四十一年五月、神戸市元町二丁目の貿易商岡本利兵衛の老妻フサがチフスにかかり、神戸病院に入院して嫁の看護を受けていた。その月の中旬、利兵衛が店から何気なく奥の一室を見ると、入院中のはずの妻が座っている。同時に、奥で病臥していた孫が「お婆さんが帰ったよ」と大声を上げて病床から飛び出そうとした。まもなく病院から呼ばれて駆けつけると、嫁が、母上は先ほどから子供の病気を案じ、自分は今わが家へ帰ってよく見てきたと言われる、と告げた。老婆は数日後に病院で死んだ。
原典より
例四 高野詣の生靈例五 戀愛からの生靈第四章 二重體(一名複體)例一 日本に於ての古い記錄例二 入浴した二重體例三 貸屋を捜がした假體例四 露國の皇后の姿例五 自己の假體を見る例六 言語したといふ二重體—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期)
心霊研究家・岡田建文の『心霊不滅』。唯物科学を批判し、肉体死後も心霊(心識)が不滅であることを古今東西の事例で立証しようとする心霊科学書。序説でイオン研究所のエーテル体撮影や、神戸の歯科医方で死去した令嬢朝子の消息を語ったセキセイインコ、タイタニック沈没時の挿話を置く。