例五 戀愛からの生靈
どんな伝承か
東大医学部在学中の中村清吉が『道』誌に発表した生霊談。一夏、同窓のMとTが草津か伊香保かの群馬の温泉へ遊びに行き、宿に美しい娘がいてMと相思の仲になった。休暇が終わりMとTは東京へ帰ったが、以来Mは急に勉強に身が入らず物思いに沈むようになった。翌年Tが一人で草津の宿を再訪すると、娘は昨年来病を得て瀕死の状態だった。娘は「貴方と一緒に来られたお方に恋してこうなった」と語り、Tが急ぎ帰京する道中、駅の茶店や汽車の中で連れの女がいるかのように扱われ、隣席の乗客は女の半身像を見たと叫んだという。
原典より
第四章 二重體(一名複體)例一 日本に於ての古い記錄例二 入浴した二重體例三 貸屋を捜がした假體例四 露國の皇后の姿例五 自己の假體を見る例六 言語したといふ二重體例七 最も顕著の事實例八 『西北に舵を執れ』—— 心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊不滅(岡田建文・岡田建文・心霊研究・昭和初期)
心霊研究家・岡田建文の『心霊不滅』。唯物科学を批判し、肉体死後も心霊(心識)が不滅であることを古今東西の事例で立証しようとする心霊科学書。序説でイオン研究所のエーテル体撮影や、神戸の歯科医方で死去した令嬢朝子の消息を語ったセキセイインコ、タイタニック沈没時の挿話を置く。