ソ連(8)
どんな伝承か
帰国の二ヵ月ほど前、ソ連の収容所を移った。そこでの作業は草刈りなどの軽作業だった。ある日、草刈りに出て二時間ほど経った頃、突然警戒兵が呼びに来て、日本へ帰すからすぐ戻れという。駅もないのに汽車が止まり、私たちは着のみ着のまま乗り込んだ。夜十時頃ナホトカへ着いて着物をかえ、翌朝九時頃に信濃丸へ乗船した。昭和二十四年十一月三日、舞鶴港に着いた。頭からDDTをかけられ、入浴して衣服をもらった。金を千円もらい、これで田を一、二反買えると思ったが、煙草を買い、饅頭やおでんを食べて、二時間ばかりの間に金はなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 軍隊(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 軍隊』を小話単位で全712話収録。徴兵・新兵・上官・戦地・戦争の残虐・敗戦・収容所・軍隊の怪談など、軍隊と戦争にまつわる兵士たちの現代民話を全国(一部は戦地・海外)から採集し話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明189話・市区町村判明76話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。