神泉苑で営まれた最初の御霊会
どんな伝承か
非業の最期を遂げた高位の官人たちの霊を祀る御霊会は、貞観五年(八六三)に神泉苑で営まれている。これが道真をめぐる怨霊信仰の先蹤にあたり、両者が系譜としてつながることは諸家の指摘するところだという。ただし御霊・怨霊の信仰は、宮廷の内側で醸される政治的陰謀という視点だけでは捉えきれない。疫病神の流行、民間に生まれた世直しへの願い、地域の神が中央権力へ抵抗する動きなど、いくつもの要因が絡み合っていたと本文は説く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本人の霊魂観――鎮魂と禁欲の精神史(山折哲雄・山折哲雄・宗教学・昭和(1976))
宗教学者・山折哲雄『日本人の霊魂観―鎮魂と禁欲の精神史』(1976年)。日本人の霊魂観念を、遊離魂・天皇霊・憑霊・鎮魂という主題で歴史的・象徴論的に考察する。序章で問題と方向を示し、第一章『遊離魂と殯』では『日本霊異記』にあらわれた霊肉の課題(魂が一日に千里をゆく遊離魂と、死者を仮安置する殯)を論じる。第二章『天皇霊と呪師』では玉躰加持の象徴儀礼を、霊魂は肉体の形相(封蠟と印型)とするアリストテレス的議論を引きつつ分析する。