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伊予橋の水面に燃えた青白い炎

所在地東京都墨田区本所林町(伊予橋)
年代明治十年代のある日午後四時
登場船頭音吉
出典妖怪の民俗学――日本の見えない空間

どんな伝承か

明治十年代のある日の午後四時ごろ、本所に怪火が現れた。深川区の森下町から本所林町二丁目へ架かる伊予橋の上手の水面に、突然青白い炎が二、三ヶ所ちょろちょろと燃え上がり、風につられて前後左右に動くさまが不気味だと人々は肝をつぶした。噂は四方に広まり、伊予橋のあたりへ群衆が集まった。深川元木橋の下で非業の死を遂げた二人の巡査の亡魂だという説も出たが、六時半ごろ船頭音吉が舟を漕ぎ出して水面をかき回すと火はふっと消えた。石油の油に悪戯で火を点じたものだろうと推察されたという。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))

民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。

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