空家の奥座敷で経を読む声
どんな伝承か
遠野の土淵村山口に、内川口某という家があった。語られた時点から十年ほど前に没落し、しばらく人の住まぬ空家のままになっていた。すると夜更けになると奥の座敷にぼんやりと明かりが灯り、誰のものとも知れぬ低い声が経を唱えるのが聞こえてきたという。街道のすぐそばに建つ家なので、若い者たちが「また始まったか」と面白半分に立ち寄ってみるのだが、そのころには読経も灯も跡形なく消えている。同じことは、栃内の和野で菊池某の家が絶えたときにも起きたと伝えられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。