念仏の道で突かれた権蔵
どんな伝承か
先年、土淵村の村内で葬式のあった夜のことである。権蔵という男が、村の者四、五人と連れ立って念仏に出かける途中、突然あっと声をあげて、道から傍らの小川へ飛び越えた。皆が驚いてどうしたのかと問うと、いま黒いものに突きのめされた、あれは一体誰だったのだろう、と言う。だが連れ立っていた者たちの目には、そんなものは何ひとつ映っていなかった。姿かたちを持たず、ただ黒い影としか感じられぬものに出くわす話は、この地方にいくつも語り継がれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・昭和(怪談集成))
日本各地の幽霊・人魂・生霊の実話怪談を十章+幽霊外伝に分類して集成する。