雁明のおくら狐の化かし
どんな伝承か
おくら狐に化かされたという話はいくつもある。この狐は雁明のおくらと言われ、栄村と切原村とを結ぶ山道で人を化かした。夜、切原村の十二新田から上区新田に通じる松林にかかると、提灯のろうそくを食べられてしまった。食油を買っての帰り道は手もとが軽くなったり重くなったりで、家に帰ると油が半分ほどしかなかった。また雁明の山道で着飾った美人に出あい、まんじゅうの包みをもらったが、家で開いて見たら馬の糞であった。肥えだめの中に入り「いい湯だ」と上機嫌になっていたとか、着物のすそをまくり「深いぞ」と川を歩くように畑の中を歩いていたという話もある。近くには小倉林という地字の山があり、狐の穴が多かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。