川端下の膳椀貸しかっぱ
どんな伝承か
以前、川端下ではどの家でも二頭ぐらいの馬を飼っていた。当番は朝「馬放せよ」と言って山へ馬を放し、晩方に「馬引きこうよ」と合図をすると、どの家からも馬を引きに来た。ある家で馬を引いてくる道すがら、ふと後ろを見ると、馬のしっぽに何かがぶら下がっている。よく見るとかっぱらしいが、知らぬふりをして馬屋へ引き込み、捕まえたところ、かっぱは「ぜひかんべんしてくれろ」と言い、これからは人の肝を抜かないと誓った。許したところ、「村に何かあったときは二十人前の膳や椀を貸すから、土の千渕へ書いた物を流してくろ」と言い、それから不幸や祝いごとのたびに書いて流すと、必ず貸してくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌・自治体史(民俗))
『南佐久郡誌 民俗編』第十三章所収の伝説・世間話。長野県南佐久郡に伝わる口承を採録する。