それまで、わしは、霊魂なんてないと思っていたですよ
どんな伝承か
それまで霊魂の存在を信じていなかったという長野県南佐久郡川上村の男性は、妻の妹が病気で危篤になった夜、一人自宅にいた。飼っていた五羽の鶏が突然コケッコと激しく鳴き騒ぎ、ロウソクの明かりで鶏舎を見に行くと、鶏たちは隅に身を寄せてすくんでいた。それから二時間ほどして「危篤だから来い」と知らせが入り、駆けつけると妻の妹は大きな目を開いたまま息を引き取っていた。男性はこの体験から、あれは霊魂が家にやってきたのだと今も信じているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。