わしの兄さんのおかみがねえ、昔東京へ行ってねえ、二年
どんな伝承か
長野県南佐久郡川上村の話。話者の兄の妻が東京の病院に二年ほど入院していた。ある晩、当時十六、七歳だった愛太郎という若者が番頭と連れ立ち、裏手の桑畑へ小便桶を担いで出かけた。帰り道、何かに後ろから追われているようで恐ろしくてたまらず、番頭に「おまえ後になれ」と頼んで先に立って戻ってきた。翌日この出来事を祖父に話すと、祖父は「おわいは死んだなあ」と言った。おわいとは話者の兄の妻のことで、実際にその頃、彼女は本当に亡くなっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。