祖母が止めた池の水漏れ
どんな伝承か
弘前市品川町のある歯科医の家には、庭にコンクリートで固めたひさご形の池があった。川魚をたくさん放していたが、どれだけ手を入れても水が漏れ、いつの間にか水位が下がってしまう。池のかたわらの離れには祖母が暮らしていた。元気なころは庭いじりを好んで草木の手入れをしていたが、老衰で床に就いたきりになっていた。あるとき水漏れの話を聞かせると、自分が死んだら漏れを止めてやろう、と口にしたという。祖母はまもなく世を去り、その日を境に池の水は漏れなくなったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。