四十九日の墓前で撮った逆さの女
どんな伝承か
死後に霊魂があるなら必ず出て来てあげる、と言い残した老女が息を引き取ったのは昭和二十九年十二月十四日である。老女と著者はその一年前、四十九日目に墓前で昼夜二回の撮影実験を行う、般若心経を唱えたときを合図に姿を現す、といった項目を毛筆の誓約書に記していた。火葬の骨上げでは、約束を忘れないでほしいと書いた紙片をしゃりこうべに忍ばせた。四十九日にあたる翌年一月三十一日は猛吹雪で、新寺町徳増寺にある墓の除雪から始めた。現像は弘前大学医学部の暗室でY技官が行ったが、何も写っていないと見えた。ところが刊行後、写真を逆さにすれば手ぬぐいを額に当てた丸顔の女が写っているという指摘が続々と届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。