棺の中で生き返った町会長
どんな伝承か
青森市に住む福井清忠は、昭和二十年ごろに町会長などを務めた人物だが、十九歳のとき腸チフスにかかり、四十度を超える高熱に腸出血を併発して死亡した。家族は医師に死亡診断書を書いてもらい、市役所からは火葬と埋葬の許可証も下りた。親類縁者や友人に送られて遺体は火葬場へ運ばれ、いよいよ火をつけようとしたその途端、棺の中で息を吹き返したという。福井はその後も元気に暮らしたが、あのときのことを思い出すと今でもぞっとして身震いするそうである。著者も、幼いころ父が丹毒にかかって三十分ほど死んだようになり、その後奇跡的に助かったと書き添えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。