頁をめくる音と半透明の顔
どんな伝承か
昭和五十二年十月十八日の午後十一時、青森市内で撮られたという写真である。読書好きだった中年の男性が亡くなって間もなく、夜ごと書斎から本の頁をめくる音が聞こえるようになった。風のない静かな夜ほどはっきり聞こえるので、雨戸や窓の鳴る音でもなく、木の葉の落ちる音でもないということになり、家族が思い切って書斎を写真に撮った。すると入口の壁面に男性の顔が写っていた。この写真で非常に重要なのは、顔が透けて背後の壁の模様がかすかに見えることで、幽霊は半透明の体であるとする説を裏づける一枚だと評された。噂を恐れて家名は伏せられている。
原典より
昭和五十二年十月十八日、午後十一時撮影。—— お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けと幽霊(大高興・1978年(昭和53年))
『お化けと幽霊』は、大高興が昭和五十三年に青森市の北の街社から出した、お化けと幽霊と心霊現象の解説書である。仮死からの蘇生や霊魂論に始まり、青森県内を中心とする心霊写真の実例、こっくりさんなどの霊界通信法、著者や知人が語る幽霊の体験談、江戸時代の『北越奇談』を著者が現代文に訳した天狗や鎌鼬の話を収める。問答の形でお化けを語る節、幽霊の存否論・分類・人相学、心理学者による心霊現象の否定を経て、巻末に心霊用語の解説を付す。