火葬場から出る人油と生首売買事件
どんな伝承か
人体を黒焼きにした薬は古くから霊天蓋・人胆・人油などと呼ばれて売られ、明治三年の弁官達で禁じられた後も密売が続いていた。大阪で生首の売買が発覚すると、余波は越中富山へ及び、反魂丹の老舗が家宅捜索を受けて九個の天印を押収され、仕入れ先は大阪・名古屋・東京と判明する。警視庁も府下の薬店を内偵し、日本橋の商店の調査に着手した。証拠は挙がらなかったが、天粉や人油といった死体由来の薬品が市中の薬店で細末として売られていることは分かった。とりわけ火葬場が危ぶまれ、引取人のない遺体の頭部が材料に回り、青竹を挿して採った脂が人油として売られていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方編著・日本怪奇集成・昭和初期(推定昭和2-3年))
明治・大正・昭和の怪奇譚(日本怪奇集成)/生首と幽霊の怪/狐狸のいたずら/怪盗と世相の怪異/各時代の不思議な事件