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亡夫が告げた戸棚裏の十五円

所在地東京都千代田区神田松富町
年代明治十三年
登場松浦おぶん、体験者
出典現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話

どんな伝承か

明治十三年五月のこと。神田区松富町に住む松浦おぶんは夫に先立たれ、位牌に向かって念仏を唱えるのを何よりの楽しみにしていた。ある夜、亡き夫が枕元に立ち、まさかのときの用心にと十五円を戸棚の破れ目の裏に隠してあるから、取り出して商いの元手にせよと告げた。翌朝早く起きて裏板を剥がすと、襤褸に包まれた銀貨十五円が出てきた。おぶんは驚き喜んだが、夫の優しい心根が思い返されてならず、金包みを抱いて涙にくれるうち、いつしか心を病んでしまったという。

原典より

私の叔母が先日(昭和五十七年・註/松谷)亡くなりまして、入院の初め頃は、死んだ者の顔が並んで崖の下に居て「来るな、来るな」と言っていて、自分は崖の上で必死につかまっていたと、夢の中の話をしていました。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)

松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。

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