女男の木
どんな伝承か
野沢町の諏訪明神の御神木と、そこから二町ほど離れた弁財天の森の榎は、どちらも枝葉がよく茂った大木で、遠くから見ると空を覆うほどであった。土地ではこの二本を女男の木と呼んでいる。不思議なことに、二本は春の芽吹きを一年ごとに交代し、ある年に明神の木が先に芽を出せば、次の年は弁財天の木が先になる。落葉も同じで、先に芽吹いた方が先に散り、その間は必ず七、八日ずつ空くという。毎年決してこの順を違えないと伝えられている。
原典より
今年明神の木が、先へ芽を出すと、来年は、また、弁財天の木が、先へ芽を出す。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。