新海三社大明神の御符祭
どんな伝承か
田口の新海三社大明神では年に十六度の祭りのうち、正月十五日の御符祭が最も厳かな神事とされる。前夜の丑の刻、宮の奥にある神の埋れ井へ、一の禰宜が覆面をし新しい器を持って水を汲みに行く。ふだん木の葉に埋もれて水気のまったくない古井だが、この夜に限って水が授かるという。この水汲みに行き会った者はたちまち死ぬと伝えられ、村はその夜戸を閉ざし、夜回りまで休む。汲んだ水で三十六枚の秘符を書き、佐久の三荘三十六郷の祈祷を行うが、翌日井戸を見ても水の跡すら残っていないという。
原典より
この水を汲む人に行き逢ふ者は、立ちどころに死すといひ伝へられて、一村此時門戸を閉ぢ、夜廻りの役などもその夜を限り停止する。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。