お面さん(その二)と不動尊
どんな伝承か
蓼科山の大河原峠の東側にある岩の洞窟に僧が住み、修行の合間に面を彫っては、一つ仕上がるたびに経を読み、多くの面を作った。何年かたつと、人が近づくたびに面は舞い上がってどうしても捕まらない。村人が相沢寺の高僧に頼んで洞窟で経をあげてもらうと、面は岩に張りついたので、箱に収めて相沢寺へ運んだという。御開帳の夜には蓼科山の絶壁に点々と灯が見えた。後年、面のあった岩から落ちてもけがをしなかった人が、足もとの苔むした塊を清めると不動尊だったので、これも臼田の人々が長い行列を仕立てて相沢寺に迎えたという。
原典より
その後何年か過ぎ、人が近づくと面は舞いあがりどうしてもつかまらない。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。