事例1:信州松本地方では、年神棚の左
どんな伝承か
信州松本地方の正月飾りに伝わる風習。年神棚の左右の端にそれぞれ一本ずつ松を立てるほか、中央から少し脇へ寄せてもう一本、小さな松を立てる。これを「山姥の松」と呼ぶが、その由来を知る者はいないという。この松にも鏡餅を供えるが、下に赤い紙を敷く点が他と異なる特別な作法とされる。長野県下伊那郡松川町では、これと似た風習として、正月の門松と同じものをもう一つ作って疱瘡神とし、疱瘡神が赤い紙を好むとして赤い紙をつけるという。柳田国男編『歳時習俗語彙』に記録されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・昭和(1988))
民俗学者・佐々木勝が全国の民俗調査をもとに厄除け・厄払いの習俗を日本人の霊魂観から論じた研究書(昭和六十三年)。祖霊信仰・霊魂信仰・厄神信仰を背景に、防塞系呪術(防御型・鎮送型・攻撃型・潔斎型)と祭祀系呪術(供物型・奉迎型)に呪術を類型化する。本文は〔事例〕番号付きで全国各地の具体的習俗を多数収める。