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気合で虫歯を抜く錦輝館の熊嶽

所在地東京都千代田区神田錦町(錦輝館)
年代明治三四年
登場熊嶽
出典霊術家の饗宴

どんな伝承か

錦輝館では、浜口熊嶽の施術に人々が殺到していた。手も触れずに烈帛の気合をかけるだけで虫歯が抜け、九字を切っただけで若い女の右頬の黒子が跡かたもなく消えうせる。記者の花岡が見たところ、その瞬間、熊嶽は女から二尺は離れていた。騒ぐ群衆に熊嶽は、さわぐ奴は治療してやらん、わしが命じる者は退場せい、信ぜざるものに治効なしと怒気をあびせた。やがて、リューマチスにおかされて四年、手足の萎えた二十代の終りとみえる女が、三人の男に抱きかかえられて舞台へ進んだ。荷車に乗せられてきたその女の治療の成否に、熊嶽が帝都で評判をあげるか去るかがかかっていた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

霊術家の饗宴(井村宏次・井村宏次・霊術研究・現代(著述))

井村宏次『霊術家の饗宴』。明治末から昭和初期にかけて隆盛し、抹消された〈霊術家運動〉の歴史を発掘・復元する。プロローグで霊術家の運命を予告し、第一章では気合術師・浜口熊嶽が帝都に乗り込み九字と気合の嵐で名を上げ、明治の心霊手術を行い、実川上人のもと那智滝で仙人修行・三密の極意を得て、大阪の『真言秘密』裁判で判官臨席の気合術実験により勝利するまでを描く。

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