三つの山に写した水主の小さな熊野
どんな伝承か
東かがわ市の水主には、熊野三山をこの地に写しとろうとした跡がはっきり残っている。集落の中心には『延喜式』神名帳に載る古社の水主神社が鎮座し、それを囲む三つの山を、土地では本宮山、虎丸山、那智山と呼び分けてきた。虎丸山は新宮山とも称する。三山になぞらえた山の麓にはいずれも石風呂が設けられ、熊野権現の風呂と呼ばれていた。石風呂は古墳の石室か炭焼き窯のような見かけの蒸し風呂で、熊野の修験者が各地へ伝えた技術だったらしい。那智山の西麓のものは、ほぼ完全な姿のまま今も残されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・現代)