薄出然道が見た庭の白光
どんな伝承か
船形屋敷の持ち主花村萬壽治は、病を治してもらった礼に、家賃なしで住んで心霊治療を営んでほしいと薄出然道に頼んだ。薄出は承知し、昭和五年一月七日に京都寺町の家を引き払って移り住んだ。その夜中、ふと目を覚まして庭の方を見ると、庭とは名ばかりの畑のような十畳ほどの四角い一画に、白い光が漂っていた。目をこすって見直しても光は消えず、翌晩の夜中にも同じ所に漂っていた。雨戸は閉めてあったので、福来友吉は肉眼ではなく夢うつつの中で霊的に見たのだろうと考えた。薄出はただ事でないと感じ、その一画を垣で囲って人が入らないようにした。
原典より
夜中に薄出氏が不圖目を覺まして庭の方を見ると、 庭と言つても畠の様な所――廣さ十疊敷程の方形をした一定地に、白光が漂つて居たのである。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。