針打ち
どんな伝承か
兵庫県姫路市味泥生まれの友人から聞いた話。明治初年ごろ、味泥に但馬の浪人と名乗る素性の悪い男がやって来た。商人に代金を催促されると刀を差して凄み、恐れられていた。この浪人には一芸があり、口に含んだ針を水中の魚に討ち当てる技を持っていた。周囲の者が黒鯉か白鯉かと指させば、浪人は針を含んでふっと吹き、狙いたがわず針は魚の体を貫き、魚は腹を返して浮いてきた。誰も一目置く芸だったが、あまりに人物が剣呑なため相手をする者もなくなり、浪人はやがてその土地から姿を消したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))