蛇の皮が火となった篠原家
どんな伝承か
高岡郡の奥、越知という山村の南に当る山腹に、樽の滝という数十丈の大瀑がある。その滝のある山を南に越えた所に篠原という農家があった。鉄砲の上手な篠原の主人は、ある日この滝の瀑壺へ下り、巌穴から半身を現した松の幹のような大蛇を撃ち落とした。皮を剝いで庭の竹に掛け、村人に見せて得意になり、その夜は隣家の者と酒を飲んで「彼処には雄と雌と二つおる」と語った。と、主人は突然「あれ、あれ」と叫んでのたうち回った。帰る人々の見ている前で蛇の皮は炎となって空に浮かび、篠原家の屋根へ飛んで家を焼き、一家は一人残らず焼死した。火の玉は樽の滝の方へ飛び去り、篠原一門の者は滝の傍へ行くと霧に巻かれて死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の怪談(二)(田中貢太郎・日本の怪談シリーズ・明治末~大正期(推定))