**山梨県南都留郡下吉田町**
どんな伝承か
山梨県南都留郡下吉田町(現・富士吉田市)での話。下吉田町のある青年が友だちと富士山麓の湖で泳いで溺れた。すぐ引き上げて手当てをしたが間に合わなかった。ふしぎに体は生きているように暖かく、駆けつけた母親は死体を一晩抱いて寝た。翌日もまだ暖かみが残っていたので、母親は埋葬をひどく嫌がった。その夜、母親は墓地へ行き、泣きながら墓を手で掘り返して「ボコの泣き声が聞える」と言った。棺の蓋をとらせるとまだ死体は暖かかった。次の夜も母親は土に耳をあて、確かにボコが泣いていると言って泣いた。ある日は浜にうずくまり、波の上に死んだ子が見えると言い張った。その母親はまもなく死んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。