天狗が金を降らせた話
どんな伝承か
天狗さんというのがいた。お母さんにだけ育てられた子供だったが、急にいなくなり、やがて立派な青年になって帰って来て、人のできないようなことをやるようになった。このあたりで現金収入を得るには炭を焼くか機を織るか、でなければ馬の背で荷を運ぶかであった。天狗さんが駄賃つけに馬を引いて行ったとき、お金を持っていかなかった。いつも寄る須走の婆さんの食堂で食べ、財布を忘れたので明日また来ると言うと、婆さんはえらく怒り、たむろしていた荷つけの連中にもひどく叱られた。天狗は店を出て天に向かい「お金を貸してくれ」と言うと、天からお金が降ってきたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告・民俗調査報告)
『向原の民俗 上(民俗調査報告第9号・第10号)』第IX章口承文芸所収の昔話・伝説・怪異。山梨県南都留郡の向原・明見地区に伝わる口承を採録する。